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2010.04.06

Dear Liz

森の向こうに流星が墜ちた


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藍い夜の畔、静かな灰が降る
緩やかな丘から入り江に向かって曵かれた轢削の先
黒く焼け焦げたトラス、捻じ曲がった鉄骨が風に鳴る

あの星のどこかから還って来た機体
試料カプセルを放出して後、どんな偶然か燃え尽きることなく
この湖に降りて来たのだ

設計寿命を越えて尚、故郷を目指し噴射を続けたイオン・エンジン
生まれた星を探し続けたアンテナも、今は鈍色の躯と区別がつかない
スタートラッカもビーコンもとうに機能を失い、カプセルが回収されれば
探されることもなく、いつかここで雨に射たれ、何も言わず朽ちて行くだけ

それでも、40億kmを越えて、この探査機は還って来た
誰も知らない頂きの曙光が、傾いだフレームを照らす

水辺へ伸びる影の先に、朝露の雫が落ちる

鳥の声が聞こえた気がした

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